婦人科の病気〜卵巣がんについて〜

卵巣がんは、近年増加傾向にあり、がんの進行により、がん細胞が卵巣の周囲の臓器、卵管、子宮、直腸、膀胱などに転移する可能性が高く、リンパ節転移も起きやすいため、死亡率が非常に高いがんと言われています。

少し前になりますが、歌手の宇多田ヒカルさんが19歳で卵巣腫瘍の手術を受けたという話が話題になりましたが、卵巣には良性・悪性の様々な腫瘍が出来ます。

 

卵巣は、思春期を過ぎる頃から女性ホルモンを分泌し、周期的に卵子を育てて排卵するというリズムを繰り返し行っている臓器です。

卵巣はとてもデリケートな臓器ですが、女性の身体の中で最も腫瘍が出来やすい場所といわれています。また、卵巣はいろいろな成分から構成されているため、腫瘍の発生場所により腫瘍の種類が異なり、卵巣がんの早期発見や診断の妨げとなっています。

卵巣はとても小さな臓器なので腫瘍が出来ても症状が表面化することがなく、卵巣がんになっても、初期症状がほとんどありません。

 

卵巣がんは、自覚症状が現れにくく、早期発見が難しい病気で、病気を発見したときはすでに手遅れと言うことも多い、厄介な病気です。

卵巣に出来る腫瘍は、腫瘍が小さいうちは良性・悪性ともに自覚症状がない場合が多く、腫瘍が成長してかなり大きくなるとようやく症状が現れます。

症状としては、大きくなった腫瘍が周囲の臓器を圧迫するため、頻尿や便秘、下腹部痛や腰痛などの症状が現れます。さらに、悪性腫瘍の場合は腹水が溜まることで、おなか周りがおおきくなったり、下腹部やわき腹にしこりが触れたりします。

また、腫瘍の大きさに関係なく、茎捻転と言う、卵巣を支えている2本の靭帯が卵巣嚢腫の重さに耐え切れずねじれが生じてしまい、激しい痛みや吐き気を催し、緊急手術が必要となることもあります。

 

卵巣がんは症状が現れてからでは手遅れとなる可能性が高いので、定期的な検診を受けることが重要です。

 

通常の内診だけでは、腫瘍がある程度の大きさにならないと発見されないことが多く、早期発見するためには径膣超音波検査と言う検査が必須です。

径膣超音波検査とは、プロープという先端が丸い棒を膣の中に入れ、超音波によって至近距離から骨盤内を検査する方法です。

径膣超音波検査は、検査を受ける患者の痛みがなく、検査での超音波画像はかなり精密で、細かい部分まで詳細にわかり、卵巣の状態がかなり正確にわかるため、卵巣がんの発見にもかなり有効な検査です。

卵巣がんの検査では、径膣超音波検査のほかに、CTやMRI検査で腫瘍の種類や周囲臓器とどのような位置関係にあるかなどを確かめる検査を行います。

また、造影検査のほかに、CA125と呼ばれる、卵巣がんに比較的特異的に高値を示す血液中の腫瘍マーカーの測定もがんの診断に用いられます。

 

ただし、卵巣がんは子宮などとは違い、直接組織を採取して検査することが難しいので、最終的診断は、手術で摘出した腫瘍の病理学的組織検査で判断します。

 

婦人科の病気〜子宮頸がんについて〜

子宮頸がんは、2007年に亡くなったZARDの坂井泉水さんが患っていた病気で、女性のがんの中で4番目に多い病気です。

一般的に、婦人科検診とは、子宮の入り口部分である子宮頚部に出来る子宮頸がんの検診のことを意味しています。

子宮頸がんは、子宮頚部表面の粘膜組織に発生するがんで、以前は死亡率も高かった病気ですが、子宮頸がんの検診制度が確立されてきたことや、妊娠初期に産婦人科で子宮頸がんの検査を行うことがあり、子宮頸がんの早期発見が可能になってきて、子宮頸がんによる死亡率も減少傾向にあります。います。

 

子宮頸がんは、性交渉の年齢が若い方や、性交渉を多人数と行っている方、妊娠や出産回数が多い方に発症しやすく、年齢を問わず性体験のある女性全てが発症の危険性を持つがんです。

子宮頸がんがセックスと関係が深いのは、子宮頸がんの主要な原因がヒトパピローマウイルス(HPV)の性感染があるためで、ヒトパピローマウイルス(HPV)が腫瘍性変化を起こすために子宮頸がんを発症すると言う事がわかってきています。。

若い人たちの性感染症の増加で、若年層での子宮頸がんの発症増加が心配されています。

 

子宮頸がんは、ある程度まで病状が進行しないと自覚症状が表れにくい病気で、接触出血などの症状が現れるまで進行してしまうと治癒率が低下してしまいます。

早期発見により治癒しやすいがんなので、自覚症状のない初期段階での早期発見が大切です。早期発見のためには、心身的に健康な女性でも、定期的に子宮頸がんの検診を受けることが重要です。

 

子宮頸がんの検査方法は、細胞診や組織診のほかに、コルポスコープといわれる経膣超音波検査があります。

細胞診は、がんの発生しやすい子宮膣部や頸部から大きめの綿棒で細胞を採取してきて、色素で染色し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる検査です。

細胞診検査は簡単で、痛みや身体を傷つけずに検査できるため、この方法がよく用いられています。

細胞診検査で疑わしい細胞が見つかった場合、さらに詳しく調べるために、組織診が必要となってきます。組織診は、米粒大の組織を採取して調べる検査で、細胞診同様、痛みはほとんどなく、出血がある場合でも1〜2日で止まります。

コルポスコープは、子宮頸部の病変部位を顕微鏡のような装置で拡大してみることで、肉眼で見るよりも正確な組織検査や診断が行えます。

 

子宮頸がんが見つかった場合、妊娠時では、がんが粘膜内にとどまっているごく初期の子宮頸がんで出産を希望する人には、円錐切除と言う病巣部分だけを取り除く方法が用いられます。

円錐切除法は、高周波メスやレーザーメスなどを使い高度な技術を駆使して行われ、15〜30分という短い時間で終わる安全な治療方法です。

しかし、子宮頸がんが進行していて、円錐切除法だけでは切除しきれない場合、子宮摘出や卵巣を含めた周囲組織やリンパ節を取り去る広汎子宮全摘出手術が必要となるケースが多くなります。

さらに進行して、肝臓や肺にまで転移してしまっている場合は、放射線治療や抗がん剤治療による治療が試みられます。

ただし、子宮頸がんには放射線治療がよく効く場合が多く、高齢者や合併症で手術が困難な人には、手術を行わずに放射線による治療が優先される場合もあります。

 

子宮頸がんは早期発見で治癒できる病気なので、健康で不安のない女性でも、年一回の定期検診を行いましょう。

 

婦人科の病気〜子宮体がんについて〜

子宮体がんは、子宮の奥の部分である子宮腔に出来るがんのことをいい、別名「子宮内膜がん」と呼ばれ、子宮の内側を覆う子宮内膜に発生するがんです。

子宮内膜は、月経により毎月剥がれ落ちるため、正常な整理を繰り返していれば、内膜細胞に小さな前がん状態のものが発生してもがんまで進むことは少ないといわれています。子宮体がんが若い女性には少なく、閉経後の女性に多いというのはこのような理由からなのです。

20年ほど前は、子宮頸がんと子宮体がんの割合は4:1ほどでしたが、乳がん同様に食生活や生活環境の変化により子宮体がんも増加傾向にあり、近頃では子宮頸がんと子宮体がんの割合が2:1くらいになってきています。

 

子宮体がんは、女性ホルモンと密接な関係にあり、卵胞ホルモンが過剰に分泌されることで、子宮内膜が異状増殖してがん化するのではないかといわれています。

月経周期が規則正しい女性の発症率は低めで、無月経、月経不順、排卵障害がある人や妊娠・出産の経験がない女性、閉経後の女性は子宮体がんが発症しやすいといわれています

また、肥満傾向にある人や欧米型の食事をしている人、糖尿病や高血圧にかかっている女性も子宮体がんを発生しやすいと言われています

 

子宮体がんは進行すると、不正出血や下腹部痛といった自覚症状が現れます。特に、不正出血は子宮体がんの重要なサインで子宮体がんを患った人の9割に不正出血が見られます。

理由なくダラダラと月経が続いたり、閉経したと思ったのに突然出血した場合など、月経不順のための出血と考え、放置してしまい、がんが進行してしまうことがあります。

月経以外の出血がある場合は、必ず病院を受診しましょう。

 

子宮体がんの検査は、経膣超音波で子宮内膜の状態を確認して、至急体がんの疑いがある場合、子宮腔の組織検査をします。

子宮体がんの組織検査は、子宮内にチューブを挿入して内膜細胞を吸引する方法と専用器具で内膜細胞を採取する方法があります。

子宮の奥の部分から細胞を採取してくるため、子宮頸がんの検査に比べて、少し痛みを伴う検査になります

 

子宮体がんには、放射線治療法があまり効果がないため、治療は手術が主体となります。

がん細胞が粘膜内にとどまっている初期の場合は、子宮摘出だけですみますが、がんの進行具合により、子宮頸がん同様、広汎子宮全摘手術が必要となります。

 

子宮体がんは、比較的予後の良好な悪性腫瘍です。不正出血などの症状が現れてから子宮がんと診断されても、不正出血が現れた時点でも約60%が早期であり、きちんと治療することで80%近くが治癒するといわれています。

不正出血が見られるときは、すぐに婦人科を受診することが大切です。

 

Copyright © 2008 婦人科の病気や症状を知っておきましょ! All rights reserved.
- ホームページSOS -
inserted by FC2 system